職業としての小説家 by 村上春樹【書評】2


<2.自分の意思で時間をコントロールする>

村上さんが、長い歳月にわたり創作活動を続けることを可能にしているのは、
かなりの部分、無意識に書く自動思考の仕組みを作っていました。

つまり、時間を味方につける、ということです。

大切だと思った一節をご紹介します。

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今の時代のことはよくわかりませんが、昔の作家の中には「締め切りに追われていないと、小説なんて書けないよ」と豪語する人が少なからずいたようです。
いかにも「文士的」というか、スタイルとしてはなかなかかっこいいですが、

そういう時間に追われた、せわしない書き方はいつまでもできるものではありません。

若いときにはそれでうまくいったとしても、またある期間はそういうやり方で優れた仕事ができたとしても、長いスパンをとって俯瞰すると、
時間の経過とともに作風が不思議に痩せていく印象があります。

時間を自分の味方につけるには、ある程度自分の意思で時間をコントロールできるようにならなくてはいけない、というのが僕の持論です。

時間にコントロールされっぱなしではいけない。
それではやはり受け身になってしまいます。

「時間と潮は人を待たない」ということわざがありますが、向こうに待つつもりがないのなら、その事実をしっかりと踏まえた上で、こちらのスケジュールを積極的に、意図的に設定していくしかありません。

つまり受け身になるのではなく、こちらから積極的に仕掛けていくわけです。

(「職業としての小説家」村上春樹ー【時間を味方につける】章より)

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もっと書きたくても10枚でやめて臆し、今日は今一つ乗らないなと思っても、なんとか頑張って10枚は書きます。
何故ならば、長い仕事をする時は、規則性が大切な意味を持ってくるからです。

書ける時は勢いで書いちゃう、書けない時は休むというのはでは、規則性は生まれません。
(中略)
僕は毎日の原稿を書きます。
とても淡々と。「希望もなく、絶望もなく」というのは実に言い得て妙です。

朝早く起きて、コーヒを温め、4−5時間机に向かいます。

(中略)
僕は自分なりの固有のシステムを、長い歳月をかけてこしらえ、僕なりに注意深く整備し、大事に維持してきました。

(「職業としての小説家」村上春樹ー【時間を味方につける】章より)

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彼は、毎朝6時に書斎の机につき、書き始めるそうです。
どうしても書けない、書きたくないと思う日でもとにかく机の前に座り、
手を動かすそうです。

そして、どんなに気が乗ってスラスラ書けるときでもお昼には書くのを辞めるそうです。

気が乗っているからと、どんどん書いてしまうと、
脳が必要以上に疲れて消耗し、次の日には書けなくなってしまう。

私も以前は、よく書ける時は10時間くらい書き続けてしまい、
そのあと、数日書けなくなって、、、
を繰り返していたので、なんだかとても安心してました。

村上春樹ほどの小説家がそうなのだとしたら、
私がそうなるのも当たり前なのです。

書きたくない日は、そもそもあるのだ、と思うくらいでいいんですね。
それでも机に向かうのか、それほど決断しているのか、それだけでした。

大切なことは、書く上での仕組みを作ることでした。
何時から何時まで、とにかく書く。

とても淡々と。希望もなく、絶望もなく。

一人だと、時間割をあまり作りませんよね。

私も朝7時から12時まで、書くこと、資料作り
セッション振り返りなど、
一人のアプトプット時間に設定しました。

やっと毎日がうまく回り始めました。

書けない理由を考えている時間なんてそもそも作りません。

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